謡曲は広い知識を得ることができ、その効用を細川幽斎(藤孝)が「謡曲十五徳(ようきょくじゅうごとく)」として簡潔に記したようです。
謡曲十五徳
不踏窮名跡 | 踏まずして名跡を窮む(きわむ) | 名跡:名所旧跡 |
居家整容姿 | 家に居りて容姿を整う | |
在旅得親朋 | 旅に在りて親朋を得る | 親朋:親しき友人 |
不學覺武藝 | 学ばずして武芸を覚る | |
不軍通戰陣 | 軍(いくさ)せずして戦陣に通す | |
不眺詠草月 | 眺めずして草月を詠ず | 草月:自然を詩歌に作る |
不習識歌道 | 習わずして歌道を識る(しる) | |
無友慰寂寥 | 友無くして寂寥(せきりょう)慰む | 寂寥:さびしさ |
無酒散鬱氣 | 酒無くして鬱気(うっき)を散らす | 鬱気:気がふさぎこむこと |
不老知故事 | 老にならずして故事を知る | |
不求交高位 | 求めずして高位と交わる | 高位:身分の高い人 |
不戀思美人 | 恋をせずして美人を思う | |
不祷感神徳 | 祷らずして神得を感ず | |
不觸解佛理 | 触れずして仏理を解く | |
不期健體質 | 期せずして体質健やかなり | 期:期待ないのにいつの間にか |