解説

能とは

日本の古典芸能。地謡(じうたい)の合唱と囃子方の伴奏で舞う歌舞劇(かぶげき)。平安時代に発生した猿楽(さるがく)が、室町時代に足利義満の庇護のもとに観阿弥、世阿弥父子によって大成された。能は歌舞劇で狂言は当時の現代劇である。

謡曲(ようきょく)とは

謡曲とは能の詞章(ししょう)のこと。演劇における脚本に相当する。役者と地謡が舞をせず謡うもの。

鶴亀(つるかめ)

天下泰平、国家の長久を祈念し、祝福するおめでたい内容である。
新春、唐の朝廷において新年会が催され、豪華な宮殿で皇帝は拝賀を受け、万民もその場に集い、鶴と亀が舞い国家と皇帝の長寿を寿ぐ(ことほぐ)。
「庭の砂ハ金銀の~」は、一般的な祝言(しゅうげん)としてよく謡われる。なお、結婚式の祝言では、「高砂」が謡われる。

鵜飼(うかい)

かつて、誤って禁漁地域で鵜を使って漁をしたために、仲間から簀巻き(すまき)にされて川に沈められて殺れた漁師の亡霊の悲劇と、その鵜飼の業の見事さ、そして「法華経」による救済を描く。現代では岐阜県長良川の鵜飼漁が有名である。

鵜飼「鵜の段」(うのだん)

禁漁で殺された漁師の亡霊が、旅の僧と出会い、懺悔のために鵜飼を披露する場面である。
「面白の有様や、底にも見ゆる篝火(かがりび)に、驚く魚を追い回し~」と、その面白さに、亡霊は殺生の罪も忘れて酔いしれるが、鵜舟(うぶね)の篝火が消えて名残惜しみながら闇の中に姿を消す場面である。

付祝言(つけしゅうげん)

「鶴亀」や「高砂」は祝言であるが、一日の演能の最後が祝言ではない場合、高砂の最終部が「千秋楽」と称され、付祝言として一日の演能の最後に謡われる。
これにちなみ、歌舞伎,相撲などの興行の最終日を千秋楽というようになった。